新型コロナウイルスワクチンを知人に接種したとの虚偽の接種記録を登録したなどとして逮捕された東京都北区のクリニック院長が、「ワクチン接種を希望する患者に生理食塩水を打ったこともある」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。北区保健所がこのクリニックで接種記録のある区民を調べたところ、抗体値が低い人が見つかっているという。
「王子北口内科クリニック」の院長、船木威徳容疑者(51)は知人女性の依頼を受け、女性を含む3人が実際にはワクチン接種を受けていないのに接種を受けたとする虚偽の情報を国のシステムに登録したとして逮捕された。女性はワクチン接種に反対の立場だったという。
捜査関係者によると、船木容疑者も接種に否定的で、調べに対し「ワクチンを受けたいという人がいたら、危険性を説明し、それでも受けたい人には生理食塩水を打った」と供述。患者には無断だったとみられる。
北区保健所によると、このクリニックで接種を受けた5人から「副反応がでない」などの相談が今年1月にあったため、船木容疑者に問い合わせたところ「適切にやっている」との回答があった。しかし同クリニックで接種記録があった区民約60人のうち十数人を調べたところ、数人の抗体値が低かったため、接種券を再発行したという。(高嶋将之、山口啓太)